すごすぎる本に会ってしまった。 
とにかく、衝撃。
ちなみに300ページくらいあるこの本、前情報なしで読み進めると、衝撃に出会うまでに100ページくらい必要。

まず誤解を恐れずに記すと、乳がんの原因がわかった。それは牛乳だった。という内容。

私の感想などどうでもよく、アマゾンレビューを読めば、この本を読んだ時の読者の衝撃がわかると思う。実際私も震撼した。

巷にはガンの原因はこれだ、とか、何が効くとか効かないとか、
まことしやかなことが出回っているし、
それこそ眉唾物の体験談を含めて、
これで治りました、という話には事欠かないと思う。

そして、この本についても、半分は著者の体験談であり、
乳がんと闘って五度も克服した一人の体験記であると言える。

ただ、この本がその他の体験談と一線を画しているのは、著者のあくまで科学的なスタンスにある。
個人の主観や先入観をなるべく取り除き、論文などの科学的に実証された結果から結論を導こうという姿勢は、気持ちいいくらいストイックだし、何の押し付けがましさも感じない。

自身も科学者である著者は、自分が乳がんに侵されていることを知るや、
過去の論文などの科学的な成果物から、どうすれば治るのか、食事療法なども自分自身試しながら検証していく。
それこそ命がかかっているので、その徹底しっぷりには本当に驚嘆だし、
それ以上に諦めない姿勢があったからこその成果だと思う。

私の説明では多分うまく伝わらないけど、この人の執念深さ、というか、
正しいと思っている道を突っ走る姿勢はものすごいし、
既製の概念や、医療行為であっても、そこに自分が納得出来るものを見つけようとする行為、
そしてそこから外れた場合はばっさり切り捨てる行為、
並の人間ではできません。立派な変人です。

そして、訳者も素晴らしい。
いわゆる和訳本にありがちな気持ち悪い日本語ではなく、熱も入りすぎず、制御された温度で正しいかつわかりやすい日本語が使われている。

専門家なので専門的な用語に詳しいのは勿論かもしれないが、
それに加えて、前提知識があまりない一般人にもなるべく壁を作らないように気を遣っている、ように思った。
(とは言え結構な分量なので途中めげそうにもなったが)

分量からちょっとハードル高いので、おすすめ度は★★★☆☆、かな。
命がかかっていなくても、科学論文や、専門家の間では常識となっていることを、
整理してまとめて一般の人々に紹介する仕事がもっと評価されれば良いのに。


■いつものblogだとあまり細かく内容紹介しませんが、
この本は読むにはハードルが高いけど、内容を知ってほしいので、
私なりに内容を紹介します。長文で読みにくいですが。
私の解釈が含まれているし、厳密に正しくない言葉を使ってしまう可能性があるので、
その点ご了承下さい。あと読むつもりの人は頑張って読んで!これから下は読まない!


なぜ牛乳が良くないのか、というと、
本来お乳というのはその生物の子供(赤ちゃん)が飲むためにデザインされた液体である、
というのが理由。

子牛は一番早いところで1日に1kgも大きくなる。
そのためには、成長した個体とは異なるものすごいスピードで細胞分裂を行う必要があるし、
そのための栄養素もたくさん必要となる。
そしてその際に細胞に働きかけて、細胞分裂を促進する、
それが牛乳の中に含まれるホルモン(のような働きをする物質)の働き。

子供が成長するためには、生体内で作られるホルモンだけでは不足で、
補うために母親からお乳の中に含めて補給してやる必要がある。

つまり、違う生物である牛の、しかも子供が成長するために必要な液体である牛乳を、
大人で人間である我々が摂取することによる弊害が乳がんである、という話。
もう少し正確に言うと、乳がんの細胞が成長するのに、牛乳の中の成分が一役買ってしまう、ということ。
前立腺がんにおいても同様。

成人は元々子供程の細胞分裂を行わないし、必要ともしない。
牛乳は成人に必要なものではない、というのが著者の主張。

元々乳がんの危険性が高い人は、特に避けた方が良い。
特に身内にがんの人がいるなど傾向が高い場合はもちろん危険性も高いが、
例えそれまで家系にいなくても、ならないと言うわけではないので注意が必要。
牛乳だけではなく、すべての乳製品が対象。
ホルモン様物質が原因なので、脂肪を取り除いていてもダメ。無脂肪乳やカッテージチーズでもダメ。
ヨーグルト、チーズ、パン、などなど。すべて取り除くのはとても大変。

そして代替品としては豆乳を使う。
(イギリス人の著者がよく豆腐とか食べたなぁと思う。。)
乳酸菌を豆乳に加えると豆乳でもヨーグルトが作れるらしい。それは新しい。

牛乳の他にも、食品添加物、海洋汚染、動物性油脂など様々な物質が避けるべきものとして挙げられていたけど、
さすがに同じ生活を実践しようとすると現代日本においては何も口にできなくなってしまうし、
交通事故を恐れて車に乗らない、ぐらいのリスクだと勝手に判断して割愛。

これは「乳がんになるリスクを減らすための食生活」であって、
「健康パーフェクトな食生活」ではないというのは注意が必要。
どちらにせよ、みのが「奥様、これがいいんですよ」というだけで盲目的に大量摂取しているようでは健康的どころかむしろ不健康であるという当たり前のことを改めて痛感。

何がどのように体に良くて、どれだけの量を摂取するとどれだけの効果が期待できるのか、
その逆で、体に悪いと言っても、どれだけのリスクが発生するのか、それを避けることによる効果はどれだけ発生するのかを冷静に判別する必要があるのだな、という当たり前の結論に帰着しました。

ちなみに、この本が日本で出版されたのは2008年。
イギリスで出版されたのは2000年。
こんな以前から世に出ていて、センセーショナルな内容なのに初めて聞いたなぁ、と思っていたところ、
ネットや書籍上では上記以外にもいろいろな議論がなされていて、賛否両論あるようです。
ニュースなどでは取り扱われていないものの、ということのよう。

原因についても、タンパク質が人間の体内で消化されずアレルギー反応を引き起こすというもの、
乳脂肪が悪いというものなど、まぁ結構な感情的なものまでいろいろ。

また当然のように、乳がん、前立腺がんに限らず、他のがんについても原因とされている記述もありました。
aoko自身まだぱらぱら読みしかしていないので、もう少し調べてみようと思います。



追記。

その後実践編については下記参照。

http://okoa.dreamlog.jp/archives/7713335.html